このファーストガイドは、これから C++Builder 2009を使い始める初心者の方を対象に 10回に分けて基本的事項を説明していきます。
第三回は C++Builder 2009の総合開発環境(IDE)の特徴について説明します。

C++Builderを起動すると「統合開発環境」と呼ばれる各種ツールや複数のペインによって構成された画面が表示されます。

図1: デフォルトレイアウトによるC++Builderの統合開発環境

C++Builder 2009のバージョンから、メニューやプロパティといった統合開発環境内で表示可能なあらゆる項目が全てUnicodeに対応しています。
統合開発環境の各部の名称は、次の通りです。
(1)メインメニュー
(2)オブジェクトインスペクタ
(3)フォームデザイナ
(4)プロジェクトマネージャ
(5)ツールパレット
統合開発環境は、C++Builderの新しいバージョンがリリースされるごとに機能の追加や改良が行われていますが、ここでは、統合開発環境を構成する基本的なメニューやウィンドウに関する概要を説明します。

1.メインメニュー
メインメニューは、画面の一番上に表示されます。

図2: メインメニュー

またメインメニューは、次の要素によって構成されています。
・メニューバー
・ツールバー

1.1 メニューバー
メニューバーには、次のようなメニュー項目があります。
メニュー |
説明 |
ファイル |
プロジェクトやファイルの新規作成、開く、閉じる、保存 |
編集 |
テキストやコンポーネントのコピー、貼り付け、削除 |
検索 |
ファイルやテキストの検索、置換など |
表示 |
各種ツールやIDEウィンドウの表示、ファイルの表示 |
リファクタリング |
コードのリファクタリングを行います。 |
プロジェクト |
プロジェクトへのファイルの追加、削除、コンパイル |
実行 |
アプリケーションの実行、デバッグ |
コンポーネント |
コンポーネントの作成、インストール、パッケージの管理 |
ツール |
オプション設定、各種ツールの実行 |
ウィンドウ |
フローティングウィンドウ(アンドッキング)が有る場合、ウィンドウの切り替え用 |
ヘルプ |
C++Builderのへルプの起動 |
|
|
メニューバーのメニュー項目をクリックすると、ドロップダウンメニューが表示されます。


図3: プロジェクトの新規作成メニュー

ここでは、[ファイル]-[新規作成]-[VCLアプリケーション]を選択することで、新規プロジェクトを作成できます。

1.2 ツールバー
ツールバーには、よく使用するメニューの機能が登録されています。
メニューバーでは、新規プロジェクトを作成するのに[ファイル]-[新規作成]-[その他]を選択しますが、ツールバーでは[新規作成]のアイコンを1回クリックするだけで同じ操作が行えます。

図4:新規作成のツールバー

また各ツールバーの左端にある縦の点線部分をマウスでドラッグすることで、ツールバーの表示位置を変更できます。

図5: ツールバーの移動

さらにドラッグをした状態で、メインメニューの外までドラッグすると、特定のツールバーをメインメニューから切り離すことができます。

図6: ツールバーの分離

もう一度メインメニューへ分離したツールバーをドラッグすると、ツールバーをドッキングすることができます。
またツールバーは、メインメニュー上でマウスを右クリックし、[カスタマイズ]を選択することによって、表示項目をカスタイズすることができます。

図7-1: ツールバーのカスタマイズ

図7-2: ツールバーのカスタマイズ

2.ツールパレット
ツールパレットには、統合開発環境にインストールされたすべてのVCLコンポーネントが登録されています。
(デフォルトでは、C++Builder 2009出荷時に含まれるすべての標準コンポーネントが含まれます。)
また各コンポーネントは、それぞれ「パレットページ」と呼ばれるカテゴリごとに区切られたページに登録されています。

図8: ツールパレットの表示

図8の「Standard」や「Win32」、「Data Access」といった折りたたみ可能な項目が「パレットページ」であり、「TEdit」や「TButton」が登録されているコンポーネントになります。
このパレットページは独自に追加することができ、他のパレットページからのコンポーネントの移動もドラックアンドドロップで簡単に行え、ツールパレットの自由なカスタマイズが可能です。

またツールパレットには、非常に多くの種類のコンポーネントが登録されているため、どのパレットページにどんなコンポーネントが登録されているか、すぐに見つけられない事があります。
そんな時には、ツールパレットのフィルタ検索機能を利用し、テキストボックス内に検索したいコンポーネントの名前の一部を入力することで、その文字列に一致したコンポーネントだけを表示することができます。

図9: ツールパレットのフィルタ検索

このフィルタ検索機能は、必要なコンポーネントを迅速に見つけたい時にとても便利です。
コンポーネントの使い方やツールパレットへの登録方法については、以降の章で詳しく説明します。

3.コードエディタ
コードエディタはタブ付きウィンドウになっており、一度に複数のソースファイルを開くことができます。
またUTF8に対応しているため、Unicode文字を含んだコードの表示/編集/保存が行えます。

図10: コードエディタ

コードエディタは、リファクタリング、構文強調表示、コード補完、コード参照、ライブテンプレート、ヘルプインサイト、キー入力マクロといったカスタマイズ可能で強力な支援機能が搭載されています。
以下、コード補完に関する機能の一例です。

図11: コード補完

コード補完は、タイピング時に入力中の構文を完成させる候補をドロップダウンリストで表示する機能です。


図12: パラメータインサイト

パラメータインサイトは、現在入力中の関数やプロシージャのパラメータを小さいボックスにヒント表示する機能です。パラメータインサイトを呼び出すには、単純にプロシージャ名を入力して、括弧 ‘(‘ をタイプするだけです。CTRL+SHIFT+スペースキーを押すと、手動で呼び出すことができます。

4.フォームデザイナ
フォームデザイナは、WindowsのGUIアプリケーションを作成するための土台となるウィンドウです。
ツールパレットから必要なコンポーネントをドラッグアンドドロップし、フォーム上の任意の位置へ配置することで簡単に画面の設計が行えます。
またフォーム自身の大きさや位置なども、マウスによって自由に変更が可能です。

図13: フォームデザイナ

フォームデザイナには、デザイナガイドライン機能が備わっており、位置合わせや余白を制御できます。
隣り合うコントロールに対して適切な位置に配置できるように、コントロールのエッジに表示されます。

図14: デザイナガイドライン

フォームデザイナの使用方法については、次の章で説明します。

5.オブジェクトインスペクタ
オブジェクトインスペクタは、選択したコンポーネントのプロパティを変更したり、コンポーネントに発生したイベントに応答するコードを管理するためのウィンドウです。
プロパティは、文字や数値の入力を行うものやドロップダウンリストのような一覧から選択するものなど様々なタイプがあります。

図15: フォームのプロパティ表示

またオブジェクトインスペクタの[イベント]タブをクリックすることで、選択しているオブジェクトのイベントハンドラを表示します。

図16: フォームのイベント表示

オブジェクトインスペクタのプロパティやイベントの表示は、デフォルトでは「名前順」になっていますが、「カテゴリ別」に表示することもできます。オブジェクトインスペクタ上でマウスを右クリックし、[表示形式]-[カテゴリ別]を選択します。

図17: オブジェクトインスペクタの表示形式の切り替え


図18: オブジェクトスペクタのカテゴリ別表示

オブジェクトインスペクタは、フォームデザイナと同じくユーザーインターフェース画面を設計していく上で非常に重要な役割を持つウィンドウです。
フォーム上に配置されたコンポーネントをオブジェクトインスペクタでプロパティの値を変更することによって、コーディングを行わなくても、コンポーネントに対して外観や振る舞いを変更することができます。
オブジェクトインスペクタの使い方については、次の章で説明します。

6.オブジェクトリポジトリ
オブジェクトリポジトリには、様々な種類のアプリケーションを作成するために必要なテンプレートが用意されています。
C++Builderでは、オブジェクトリポジトリを利用し、Windowsアプリケーション、DLL、コンソール、Webサービス、ActiveXに対応したプロジェクトやファイルを作成できます。

図19: オブジェクトリポジトリ

このダイアログボックスは、メニューバーの[ファイル]-[新規作成]-[その他]で表示します。
また別の方法としてプロジェクトを開いていない、もしくはフォームデザイナを選択していない状態で、オブジェクトリポジトリに登録されているオブジェクトをツールパレットから選択することができます。

図20: ツールパレットでのオブジェクトリポジトリの表示

オブジェクトリポジトリへ登録されているオブジェクトもツールパレットのフィルタ検索機能を利用して、すばやく見つけることができます。

図21: オブジェクトリポジトリのフィルタ検索

また既存のプロジェクトをオブジェクトリポジトリへ登録し、テンプレートとして再利用することができます。
オブジェクトリポジトリへの登録は、既存のプロジェクトを開いた状態で、メニューバーの[プロジェクト]-[リポジトリに追加]を選択します。

図22: リポジトリに追加

ここでは、タイトルとして「MyProject」という名前を付けています。この名前がオブジェクトリポジトリに表示されます。[OK]ボタンを押すと、オブジェクトリポジトリに登録されます。
またオブジェクトリポジトリへ追加したオブジェクトの管理は、メニューバーの[ツール]-[リポジトリ]で表示されるダイアログで行います。

図23: リポジトリの管理

このダイアログ画面で、追加したリポジトリオブジェクト対する編集や削除が行えます。
このようにオブジェクトリポジトリには、すぐにアプリケーション開発に活用できるテンプレートやフォームが数多く含まれています。これらのテンプレートを利用することで、クラスライブラリ、コントロールライブラリ、コンソールアプリケーションなどの様々なプロジェクトを作成できます。
オブジェクトリポジトリに含まれているテンプレートについては、次の章以降で随時説明します。

7.プロジェクトマネージャ
プロジェクトマネージャは、フォーム、実行可能ファイル、オブジェクト、ライブラリファイルなどを含むプロジェクトを複数管理することができるプロジェクトグループを作成し、それを一元管理します。
プロジェクトマネージャの表示は、メニューバーの[表示]-[プロジェクトマネージャ]で行えます。

図24: プロジェクトマネージャ

C++Builderでは、新規プロジェクトの作成を選択すると、最低1つのプロジェクトグループとそのグループに属する1つのプロジェクトが作成されます。
プロジェクトを複数管理したい場合には、既存のプロジェクトグループに対してプロジェクトを追加していきます。

図25: プロジェクトグループへプロジェクトの追加

既存のプロジェクトグループへプロジェクトを追加するには、以下の2つの方法があります。
(1) [追加]アイコンをクリックする
(2)プロジェクトグループ(ここでは、ProjectGroup1という名前)のノード上で、マウスを右クリックし、[新規プロジェクトを追加]、もしくは[既存のプロジェクトを追加]を選択する

またC++Builderのプロジェクトマネージャでは、複数のプロジェクトを管理できますが、同時にアクティブにできるプロジェクトは1つです。
例えば、以下のような動作を行った時、反映されるのは現在アクティブなプロジェクトになります。
・[ファイル]-[新規作成]から、パッケージ、ユニット、フォームの追加
・プログラムの実行ボタン[F9]
・プロジェクトのビルド[Shift+F9]
など

プロジェクトマネージャの[アクテイブ化]メニューからアクティブへ変更したいプロジェクトを切り替えることができます。

図26: プロジェクトのアクティブ化

またプロジェクトマネージャ内で任意のプロジェクトをダブルクリックすることでアクティブに変更もできます。
アクティブなプロジェクトは、太字で表示されます。

8.デスクトップレイアウトの設定
C++Builderの統合開発環境では、特定のデスクトップレイアウトを設定し、自由な形式でカスタマイズすることができます。
デフォルトでは、以下の3種類のレイアウトが予め用意されています。
・Classic Undocked
・Debug Layout
・Default Layout(C++Builder起動時のデフォルト)

例えば、レイアウトとして「Classic Undocked」を選択すると、ウィンドウやペインがドッキングされていないC++Builderの旧バージョンのような感じで表示することができます。

図27: デスクトップレイアウトのClassic Undocked表示

デスクトップレイアウトの切り替えは、図29のようにツールバーのドロップダウンリストから候補を選択します。
※メニューバーの[表示]-[デスクトップの配置]からも行えます。

図28: デスクトップレイアウトの切り替え

また自分の使いやすい画面やメニュー配置にカスタマイズしたレイアウトを保存したいときは、ツールバーの[現在のデスクトップ設定を保存]のアイコンをクリックします。
※メニューバーの[表示]-[デスクトップの配置]-[保存]からも行えます。

図29: デスクトップレイアウトの保存

そして[デスクトップの保存]のダイアログで、任意の名前を付けて保存します。

図30: デスクトップの名前の保存

図30で保存されたデスクトップは、ドロップダウンリストから選択可能になります。

図31: デスクレイアウトの選択

このようにしてC++Builderのデスクトップを自分の使いやすいようにカスタマイズすることができます。

あとがき
第三回は、C++Builder 2009の統合開発環境の各部の名称や構成要素の理解を目的として、その特徴について記載いたしました。
第四回は、「プログラミング手順(前編)」です。今回紹介した統合開発環境の具体的な使い方も交えまして、
「プロジェクトの作成」、「 コンポーネントの配置」、「プロパティの設定」、「イベントハンドラの設定」、 「コンパイル」、「プログラムの実行」までの基本的な開発手順を説明する予定です。
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