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Rubyテクノロジーリーダーを訪ねて - 第2回 「最首英裕氏」
投稿者: : Hitoshi Fujii
概要: Rubyテクノロジーをリードするキーパーソンを訪ねるインタビューシリーズ。第2回は、Rubyビジネスコモンズを手がける最首英裕氏です。
最首英裕氏
株式会社イーシー・ワン代表取締役社長、Rubyビジネス・コモンズ会長
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Rubyを積極的に採用し成功を収めている株式会社イーシー・ワンは、黎明期のJavaに取り組み、数名で立ち上げた会社を現在の
170名を越える規模に発展してきた実績を持つ。その経験から「Rubyは本物」という最首氏に、Rubyの魅力について語ってもらった。
Rubyとの出会いは社員の熱意から
「3年ぐらい前から、Javaのソリューションを提供しているだけだと、合わない話が出てきたんですよ。」
B2C案件では、より短期間での開発が要求されていた。いろいろな方法を検討していったところ「Ruby」という声が上がってきた。自分でも評価してみたところ、確かにRuby on
Railsは整理されていて分かりやすかった。しかし、最終的には、社員の熱意が決定を後押ししたようだ。
「うちのエンジニアがあれほどやりたがるということはこれまでなかったんですよ。そんなにやりたいと思えるのはいいことだから、やってみたらいいと決めました。」
最初の導入は、Railsに詳しいエンジニアの支援を受けたという。
「社内でもRubyを使っているエンジニアもいたのですが、Railsを使った経験はありませんでした。そのとき、ちょうどRails
に詳しい人に手伝ってもらえることになって、ちょうどよかったですね。実際やってみたら、短期間でプロジェクトが完了したにもかかわらず、終わったあとに充実感を感じている様子をみて、これはいいと思いました。」
イーシー・ワンでは、これ以降積極的にRubyを採用するようになり、Javaなどの既存の技術とうまく組み合わせることで、現在では、提案にRubyを採用する機会がかなり多くなっている。
「お客様も、やりたいことがカチッと固まっていないことが多いので、開発の早いタイミングで、ある程度動くものを見せて、最終的な仕様にぶれがないかを確認していけるのは効果的です。それに、スピード感があると開発している人間も楽しいですよね。」
Rubyビジネス・コモンズの活動
Rubyビジネス・コモンズは、Rubyを実際のビジネスに利用するノウハウを共有知(コモンズ)とするべく、地域密着型のコミュニティ活動を行っている。現在、100を越える団体が参加し、福岡、佐賀、長崎、熊本の4県が後援してスタートした。
こうした活動を九州から立ち上げた趣旨を聞いてみた。
「イーシー・ワンは、元々Javaの会社として98年に立ち上げたんですが、先行してやっていることの強みというのがあるので、後発の人に負けないことをやらないといけないと考えてきました。でも、Rubyについていえば、追いついてくる人がいるなと感じていました。だとすれば、追いつかれて意味のあることをやろうと考えたんです。」
そこで取り組んだのが、コモンズである。ひとりがちは絶対できない。そこに参加しているチームみんなで勝つという考え方で、ノウハウを積極的に共有し交換できる場を作ったのだ。
「どうせなら東京でない場所でやろうと思ったんですよね。ちょうど、福岡にオフィスを作ったところでした。どの都市でも聞く話ですが、福岡でも実際には下請けが多かった。でも、これからトレンドになってくるRubyの経験をいっぱい持っていると、経済的な状況もかわるんじゃないかと思いました。」
Rubyビジネス・コモンズでは、イケテル勉強会という取り組みを行っている。技術勉強会では、
- 1日で学べる
- 座学ではなく実際に作ってみる
- Rubyは初めてという人でも最後までできる
というコンセプトで、Rubyを学んでいる。参加者は主に技術者だというが、楽しくやることにこだわっているという。
「例えば、チームでやって遅れている人がいたら助けるとか、うまくできたら拍手するみたいなことをしているんですよ。Rubyは直感的で、シンプルにできることもあるので、はじめてのひとでもある程度理解しながら開発ができます。1日の勉強会に参加すると、皆さん楽しかったといってくれます。」
もうひとつの取り組みは、ビジネス勉強会だ。Rubyは、生産性の高い技術だからこそ、もっとどう使うかということを考えるべきだと考えてのことだ。技術に振り回されず、目的やそのための手段をしっかり見極めることが大事なのだ。
「技術者は4割ぐらいです。例えば、『Webメディアについて考える』というテーマで、チームに分かれてなんらかの結論を導き出すんです。私は、技術力だけで仕事がとれる時代は終わると思っています。何を伝えたらいいか、ということを一生懸命考えて、伝え方だけじゃなくて、同じ素材をどういう切り口で伝えるのかということをもっと検討しなければならないと思いますよ。」
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Rubyとのかかわりによる再発見
最首氏は、Rubyとかかわりが、エンジニアリングを楽しんでいこうということを思い出させてくれたという。
「プログラミングが好きでエンジニアになったはずなのに、なんか違っちゃったなぁ。って思っている人は多いと思います。開発とはプロセス管理だ、エンジニアリングとはマネージメントだ、コーディングとはルールに基づいてやっていって、だれがやっても同じになるようにいかないといけない、そうやって品質を上げていく。それが正しいという風潮になっていった。でも、Rubyとのかかわりが、そのことに疑問を投げかけるきっかけになりまし
た。」
彼は、そうしたRubyの魅力を「強制しないおおらかさとシンプルさ」と表現する。
「やり方を束縛することによって生産性を上げる方法もあります。その場合はたいてい型が決まってきます。でも、Rubyはそういうやり方とは違う。やり方は強制しないし、とてもシンプルにコーディングできる。究極にシンプルなコードも書けるけど、それがいいってわけでもないし。Ruby
にかかわっている人たちの人柄ですかね(笑)。」
最首氏は、Rubyの分かりやすさによって、システム開発はプロ以外の人でも取り組めるようになるのではないかと未来を予想する。エンジニアとそれ以外のカルチャーの人が、インターネットで何かを発信するようなクロスカルチャーな活動ができるのではないかと期待しているのだ。
「エンジニアリング自体もポップカルチャー化するべきだと思います。今はクラシック音楽みたいで、きちんと練習して数年かけてようやく到達できる。もっと手軽に参加できるようになるべきですよ。」
最首氏は、これを「Rubinnobation(ルビノベーション)」と呼んでいる。
「ソフトウェア業界は確実に大きくなっていきます。ソフトウェアが社会にとって、日常生活にとって重要なものになって、多くの人の心の支えになるようになるといいと思います。」
Rubyの採用は躊躇せずに
Rubyの現在の状況は、Javaと比較すると分かりやすい。イーシー・ワンでは、98年から世の中に出てきたばかりの
Enterprise
Javaに取り組んできた。その当時、多くの人が、「Javaなんてスピード遅いし、品質も悪いし、使い物にならない。開発できる技術者もいない」しかし、結果的に、Javaそのものの進歩というよりも、アプリケーションサーバーやツールといった周辺環境の進歩によって安心して使えるようになり、急速に普及していった。
「Rubyについていろいろ言う人がいるが、リアルに今普及してきています。開発ツールも充実してきているし、Rubyを動かすエンジンも高性能になってきています。」
利用者が増え、ツールが揃い、書籍などの情報も充実してきている。こういう条件が整いはじめると、手がけるひとが急激に増えるのだという。
「もし採用を躊躇しているひとがいればRubyビジネス・コモンズの勉強会に参加してほしいと思います。参加も無料だし、たった1日で、またたくまにいろんなことができることが分かります。」
Rubyを検討する状況は既に整っている。あとは一歩踏み出すだけだ。
「そういう技術が目の前にあって、利用しない理由がぼくには分からない。ビジネスは競争で動いているので、みんなが敏感だったから困るんですけどね
(笑)。」
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最首 英裕
株式会社イーシー・ワン代表取締役社長、Rubyビジネス・コモンズ会長。1985年
早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、同年
株式会社エイ・エス・ティ(現ITフロンティア)入社。米国ベンチャー企業の日本代表を経て1998年EC-One設立。
仕事でやるプログラミングは仕事なんで、楽しいわけではないけれども、Rubyビジネス・コモンズを通じて、多くの方にプログラミングの楽しさを再認識できたといっていただいています。そういう意味では、ぼくらは、まつもとさんの精神を正しく受け継いでいると思います。
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